歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

〈元気〉〈健康〉の礎を築く

●53%が自費「YES」

各地から次々に桜の便りが届き、今年も新しい春の季節が到来しました。〈厳寒の世界経済〉のまっただなかでも、四季は確実に巡ってきます。「年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず」(劉廷芝)。なかなか花を愛でる気持ちになりがたい状況ですが、新年度のスタート、この光の輝きと暖かさに心機一転、気合を入れて出発しましょう。

前回、「患者さんの本音! ネットアンケート」HONNET(ホンネット)による、不況下における歯科の受診率・自費率減少の実態を紹介しました。発表直後から内外の関心を集めましたが、今回は第2弾「いま、自費を勧められたら?」を掲載しました。

調査では「不況が原因で治療を中断」した患者が自由診療で10%を超えていますが(既報)、同時に、「高額の自費治療を勧められたとき」に、全体の半数52.8%が「歯科医師の提案をそのまま受け入れる」「治療内容によっては受け入れる」と答えているのです。

●「健康」の願いは同じ

これをどう分析するか。もちろん「治療内容によっては」という条件がつきますが、大事なことは「YES」と答えた人が、世帯収入1000-1500万の高所得層で6割(59.3%)なのに対して、年収が3分の1以下の300-400万の層でも4割以上(44.6%)に達しているという事実です。

もともと経済的に楽ではない、しかも低所得者層ほど不況の打撃を受けていること、さらに歯科診療の診療費を「高いと感じる」金額が1回「3000円以上」までの人が全体の76.5%に達する標準的意識を考えるとき、この数字には「口腔の健康」に対する切実さがにじみ出ていると言えます。その思いの深さに応える診療、患者さんへの思いやりのこもったコミュニケーションを実践していきましょう。

●地域を健康にする「志」

今回とくに注目されたのは、この状況下でも患者が増え、安定経営を続ける医院の「違いは何か」という事です。そのひとつの答えが、会員情報誌「Together4月号」インタビューで紹介している大阪・池田の「こいし歯科」の取り組みです。院長の小石剛氏(30)の胸には「ふるさと池田に笑顔と健康(健口)を広めていきたい」という思いが溢れています。ライバル医院に負けたくないとか、勝ち組になるという1個の医院の繁栄ではなく、「地域全体を元気にしたい」という思い。医院の経営戦略はつねにその志をベースに考えられ、実践されています。「地域医療に貢献するには大同団結してがんばらないとあかん」。当然「待ちの姿勢」ではなく、「歯育てカフェ」の開催やスマイルスクール(母親教室)、保育所講演など、積極的に地域に出てコミュニティ活動を展開しています。その真摯な思いと行動は地域の人々の心にストレートに届き、院内は笑顔の来院者でいっぱいです。

●人間尊重の社会の礎に

小石院長から「自利利他相即」という言葉を教えていただきました。「人間は他人に頼りにされ、他人に頼れることを知ったときに、生きがい、やりがいを感じる」という意味の教えです。人と人との「信頼関係」もそこから生まれるのです。自由診療は「信頼」を前提に成立する自由契約の診療です。今回の「53%」が意味するものは、この厳しい環境下でも、良好なコミュニケーションによって「相互信頼」が形成されるなら「自費率5割」も不可能ではないということです。もちろん「自費率」(売り上げ)のために患者さんがいるのではなく、患者さんの健康のために自由診療がある。それを念頭において、臆することなく積極的に説明し、患者さんのプラスになる情報を伝えましょう。

何よりも「医療」として、患者さんの笑顔と健康、地域の人々の健康とQOL向上のために力を尽くす。それが、世界的な社会構造と経済システムの根本的転換が求められる時代に、歯科医療が担う、人の心を大切にする、そして人と人の関係を大切にする仕事、〈元気〉と〈健康〉の礎を築く尊い仕事にほかならないのです。

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