歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

The First Penguin

高視聴率朝ドラ「あさが来た」

25%を超える高視聴率を記録した人気のNHK朝ドラ『あさが来た』が4月2日最終回を迎えます。ヒロイン白岡あさのモデルは幕末から明治大正の動乱期に生きた女性実業家広岡浅子。大阪の両替商から炭鉱業に進出し、銀行や紡績工場、生命保険会社を立ち上げ、日本で初の女子大学設立に奔走するなど、日本の近代化、女性の社会進出を推進した傑出した「女傑」のひとりです。

あさは「ファースト・ペンギン」

ドラマの中で光を放っていたのがディーン・フジオカ演じる五代友厚。明治期の大阪復興に尽力し「大阪の恩人」と称された男です。彼が九州の炭鉱にあさを訪ねて語った「ファースト・ペンギン」(First Penguin)。この言葉が大きく注目されました。First Penguinとは、群れのなかで最初に水に飛び込むペンギンのこと。五代はあさに対し「海の中は危険がいっぱいや。どんな敵や困難が待ち受けているかもわからへん。そんな時に群れから一番先に海に飛び込む勇気あるペンギンのことを『ファースト・ペングィン』というんです」と語ります。彼女はその言葉を支えに「九転十起」、幾多の失敗にもめげず果敢に困難に挑み、次々に事業を展開していったのでした。

歯科界の海原へのダイブ

目の前の海の中に餌となる魚がいるか、もしかしてトドなどの獰猛な天敵がいて食われてしまうかもしれない。自分の命の危険というリスクと引き換えにチャンスを掴み、後に続く仲間たちに道を開く先達のペンギン。それは日本の歯科界にもいるのです。

人類が経験したことがない世界最速の超高齢化社会への上り坂を登っている日本の歯科医療には、これまでの「成功体験」や「拡大路線」では対応できない根本的な転換が求められています。そのなかで果敢に困難に挑み道を切り拓いている「歯科のファースト・ペンギン」の歯科医師、そして彼とともに進む医科、介護をはじめとする多職種の医療人がいます。

歯科のFirst Penguin

それは本誌の2つのレポートで紹介している人々です。まず、2月29日に石巻で開催された第6回「食べる輪」の河瀬聡一朗輪長。大震災被災地に飛び込んで歯科医療活動や「男の介護教室」に取り組んでいる河瀬氏が石巻圏で摂食嚥下で困っている人を救おうと呼びかけて立ち上げ、昨年から活動を続けています。毎回多くの多職種の専門職が集まって研究と交流を深めており、今回も140人の参加で、言語聴覚士がメイン講師になって「嚥下〜はじめの一歩〜」の講習と実習を行いました。

もうひとりが3月6日に開かれた「ネコの会」(公衆歯科衛生研究会)の岡崎好秀代表。会は33回目、「めざせ!プレゼンの達人」をテーマに、地域歯科保健活動を実践している220人の歯科医療人と多職種が参加、2題の特別講演とともに「あいうべ体操」の今井一彰氏や「生まれ変わったら歯科衛生士に」と述べて感動を与えている糖尿病専門医西田亙氏など多方面から医科歯科連携の熱のこもった活動が報告されました。

歯科の海はブルーオーシャン

歯科界の「海」では、高齢になって通院できない、孤立している、糖尿病など生活習慣病の有病者も多い、フレイル・サルコペニアも進行するなど、「大介護・多死時代」に向かって大きな変化が始まっており、今回の診療報酬改定にも反映されたように地域医療における歯科の役割はかつてなく高まっています。歯科界(海)は大きな「ブルーオーシャン」(豊饒の海)にほかなりません。「ファースト・ペンギン」に続いて多くの歯科医療人がこの海に飛び込んでほしいと願います。

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