歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

7割が滅菌せず「使い回し」!?

歯科医院は「菌の巣窟」か?

「歯医者は菌の巣窟だった?」「歯削る機器7割使い回し」「滅菌せず院内感染懸念」・・・。

5月18日の「読売」、そして19日のWebニュースは、歯科医院が院内感染対策をおろそかにしているという、国立感染症研究所等の研究チームが行った調査結果を発表しました。調査対象はタービンのハンドピースで「患者ごとに滅菌したものと必ず交換している」と回答したのは全体の34%。言い換えれば66%、約7割が(程度の差はあれ)適切に交換せず「使い回し」をしていることになります。記事では2007年から行われた過去4回の調査の平均で71%が「使い回し」と報じています。

7割が「使い回し」の現実

歯科における院内感染対策の遅れは以前から指摘されており、2012年の日本歯科医学会調査でも患者毎にハンドピースを滅菌しているのは31.4%に過ぎず、診療時のグローブも「患者毎に交換」が34.7%、術衣(ユニフォーム)を「毎日交換」しているのも31.9%という数字でした。この調査でも7割が感染の危険性が高い医院であることを示しています。

根管治療で直接歯根に挿入するリーマーやファイルはどうか。これならほぼ100%と思いきや、超音波洗浄+オートクレーブ滅菌が48.5%で半分以下、「超音波のみ」29.4%、「アルコール清拭のみ」10.0%と4割が加熱殺菌せずに再使用している現実があります。同じ年に開かれたLDA(Leading Dentists Association)講演会で鈴木エリ氏が語ったアメリカの標準「グローブとともにマスクも患者ごとに交換することが法律で義務化されている」という水準と日本の現実との「格差」を思い知らされました。

患者は「安心」「安全」を信じている

しかし、医療従事者ならば誰もが安心安全な医療を提供したいと願っているはずです。実際、この記事を書いている最中にも「うちは幸い滅菌している3割の側だけど、報道の翌日オートクレーブの注文が殺到したとディーラーから聞いた」という連絡があり、「当院では使い回しはしておりません」というお知らせポスターの依頼も飛び込んできました。Webニュースではコムネット「1万6千人アンケート」が引用されましたが、患者さんは歯科医院を選ぶ前提として「安心」「安全」を信じています。まずはきちんと滅菌・感染予防を行っていることを伝えましょう。設備や条件が完備していなければ直ちに対策をたてて実行しましょう。何も言わなければ「それは言えないから」と判断されかねません。

自分の家族と同じ気持ちで

歯科医院における院内感染の危険性は以前からユニット内の水質汚染(細菌増殖)の面からも警鐘が鳴らされています。東京都内でもわずか3%といわれている「歯科外来診療環境体制加算」の認定医院である荒川区の相田歯科クリニックでは、相田能輝院長が理事長を務めるPOIC(専門的口腔感染症予防)研究会の認定施設基準の「残留塩素濃度0.1ppm以上」「一般細菌数0個/ml」という厳しい基準をクリアし、万全の感染予防対策を講じています。氏の座右の銘はヒポクラテスの言葉"First do no harm"「何よりも害をなすことなかれ」。医療機関が病気や感染の源になってはならないという「医療の基本」を戒めとしています。

そうした思いを日々の診療や医院運営に貫いてゆく基準の1つとしてお奨めしたいのが、自らへの問いかけです。それは「自分自身や家族が治療を受けたい環境、条件を整えているか」そして「スタッフが安心して家族や友人知人を紹介できる医院か」どうか。治療技術を語るよりも先に「安心安全を最優先にしています」と胸を張れる歯科医院をめざしていきましょう。

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