歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「歯科の明日」への挑戦

●世界の中での日本の歯科医療

新年度を迎えた4月は、広い視野から日本の歯科医療の現状と方向性を考え、また10年後、20年後の時間軸のなかで歯科医療の果たすべき役割と課題を捉えなおす意義深いイベントが相次いで開催されました。そのひとつ、4月6・7日大阪大学で開催された国際シンポジウム Dentistryinthe21st Century:ChallengesofaGlobalisingWorldでは、21世紀、国際化時代において歯科医療・オーラルヘルスプロモーションがQOL実現にどのような役割を果たしていくのかを考察するとともに、いっこうに予防にシフトできない日本の歯科医療への鋭い切り込みや改善提案、高齢者歯科医療の先駆として世界に貢献する可能性について積極的な意見が交わされました。

●良好な口腔は全身の健康の礎

シンポジウムでは、「QOLの実現に果たすオーラルヘルスプロモーションの役割」と題してIADR新会長のアイルランド・コーク大学のヘレン・ウェルトン教授が基調講演を行い「良好な口腔環境は全身症状のリスクを低下させる」と述べるとともに、口腔ケアが人々の生活に及ぼす影響を捉えるうえでは臨床検査とともに患者の立場に立った評価が必要と語り、POS(Problem/Patient Oriented System)の視点に立脚する重要性を強調しました。

また、日本で開業して30年になる大阪歯科大学非常勤講師で米国人のトーマス・ワード氏が、「Dental care across the Pacific-An American view」と題して、最近アメリカにおいて、歯科医師過剰と歯科疾患の減少を背景に横行しているオーバートリートメントの問題点を指摘するとともに、実技試験のない日本の歯科医師国家試験の制度改革、免許更新の生涯研修の必要性、診断と治療を別々の医師が行うなどの具体的な改善提案を行いました。

●歯科医療の重大な転換期に

また今回のシンポジウムの冒頭、大阪大学歯学研究科の初の女性教授に就任した林美加子教授が「歯科が未来に輝くために」と題して特別講演を行いました。氏は歯科医療の歴史をふまえながら、「21世紀初頭の歯科医療は重大な転換期にある」と定義。この時代を「刺激に満ちた挑戦しがいのある時代」と述べるとともに「口腔は全身の鏡であり、疾病の見張り番であり、全身の健康と幸福にとって決定的に重要である」という米国公衆衛生局長のD・サッチャー氏のことばを紹介し、日本の医療制度を根本的に治療中心から予防とケアの方向に転換することを提唱しました。

具体的な提案として、(1)全ての子供の歯科医院への登録制度 (2)18歳までの歯科医療費無料化 (3)19歳以降も低料金の健診と予防処置を行い、治療が必要になった場合は(現在より)高額の治療費を課する、という北欧型の医療制度の導入を提言、明快な論旨で予防重視の制度がもたらす経済的効果や他国への支援の可能性についても言及しました。

●予防への転換で「舞踏会の華」に

林教授は、歯科医療を「シンデレラ」になぞらえて、これまで歯科医療は、その果たしている大きな役割にもかかわらず「不幸なシンデレラとして扱われてきた」これまでの歴史から脱却して優れた予防スタイルを確立するなら、歯科の分野が「『舞踏会の華』になれるだけでなく、全ての人への健康的な長寿へ輝く光となるでしょう」と歯科界の全ての力の結集を訴えました。

研究者も、臨床歯科医も、そして全ての歯科関係者が志を掲げ、歯科のグランドデザインを共有し、「歯科の明日」に向かって今こそチャレンジすべき時を迎えています。

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