歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

8014から8020へ

●約4割の高齢者が8020達成

6月1日に厚労省が発表した2011年の「歯科疾患実態調査」の概要によると、日本の高齢者の4割近い38.3%の人が8020を達成していることが明らかになりました(75〜80歳未満&80〜85歳未満の残存歯数から推計)。前回6年前(2005年)の調査(24.1%)と比べて14.2ポイント増加。これを80歳で推計すると保たれている歯は平均13.9本。前々回12年前の8004から5本増えて8009となった前回同様に、今回も5本増えて8014にステップアップしていることがわかりました。
実際、臨床現場から「来院される高齢者の患者さんの残存歯数がどんどん増えている」「ウチの患者さんが何人も8020で表彰されたんですよ」という声があちこちから聞かれるようになっていましたが、予防の啓発による国民意識の向上はもとより、個々の歯科医院での歯を守る予防管理の診療や患者教育・情報提供が定着しつつあることを物語っています。

●歯科は「健康日本21」の優等生

昨年10月、政府が生活習慣病を減らすことなどを目標に2000年から推進してきた「健康日本21」の最終評価が発表されました。健康目標に掲げられた全59項目のうち目標値に達したのは10項目(達成率17%)で、全体的には著しい改善がみられなかったものの、歯科分野では、13項目のうち5項目でA評価(目標達成)、7項目でもB評価(改善傾向にある)を獲得し、歯科はダントツの「優等生」だったのです。
A判定を受けたのは「フッ化物歯面塗布を受けた幼児の増加」「進行した歯周炎の減少」「8020以上・6024以上の人の増加」「定期的に歯石除去や歯面清掃を受ける人の増加」「定期的な歯科検診を受ける人の増加」の5項目。他の項目でも、目標設定のレベルにもよりますが、「う蝕のない幼児80%以上」の目標に対して達成率が77.1%でB、「学齢期におけるフッ化物配合歯磨剤の使用90%以上」に対して達成率86.3%でB判定(惜しい!)という高水準での改善傾向が示されました。こうした、公衆衛生や学校保健、歯科医院における努力の成果が今回の歯科疾患実態調査にも表れているといえるでしょう。

●「健康寿命」アップと歯科の役割

厚労省は同じく6月1日に、介護などを必要とせずに健康的に生活を送ることができる「健康寿命」(WHOが2000年に打ち出した概念)を公表しました。それによると、2010年における男性の平均が70.42歳(平均寿命79.55歳)、女性が73.62歳(同86.30歳)という数字。平均寿命との差、男性で9.13年、女性で12.68年がそれぞれ「寝たきり」であったり「要介護」「要支援」の生活を余儀なくされていることになります。女性の平均寿命は世界第1位、男性も第4位と、日本は世界でも有数の長寿国ですが、「健康寿命」をいかに伸ばすことが大きな課題といえます。
健康な高齢者が増えることは、医療費を削減する効果に直結します。日本の国民医療費は36兆67億円(2009年)、そのうち65歳以上の高齢者の占める割合は19兆9479億円に達し、全体の55%に上ります。8020を達成すると、どれだけ医療費が軽減されるかという実証データも、すでに各地でまとめられています。

●10年後8020を50%に!

厚労省は2013年度からスタートさせる第2次「健康日本21」の目標に健康寿命の増加を盛り込むとともに、歯科の目標として10年後の2022年度までに「8020達成者を50%以上にする」という数値を掲げるといわれています。6年で8020を14%増やした経験をもとにがんばるなら、「あと11.7%」はかなり前倒しで達成可能と思われます。
同時に、歯が残るということは歯周病の予防・治療の需要がぐんと増えるということでもあります。「2010年までに8020達成」というアメリカの経験がそれを教えています。

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