歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「歯科の価値」を、もっと!

●歯科医の活動に光あたる

東日本大震災において、遺体の身元確認のために、全国からのべ2千5百人にのぼる歯科医師が駆けつけて検視を行い、歯科所見によって多くの犠牲者の身元を明らかにした。また、仮設診療所や移動診療車で避難所をまわって治療や口腔ケアに尽力し、被災者の命と健康を守るために奮闘する歯科医師の姿が何度もマスコミで報じられた。その中には本誌でも紹介した岩手・釜石の及川院長、宮城・石巻の阿部院長のように、自ら被災しながらも支援に立ちあがった歯科医師も含まれており、その医療人としての志、使命感に燃える行動に心から敬意を表したい。

●「人間の尊厳」守るしごと

歯科の被災地支援は、検視においては夥しい犠牲者一人ひとりのご遺体と向き合い「生きた証」を記録するという、最期まで人間としての尊厳を守るしごとである。そして、被災者には口から食べることが人を元気にする「噛んで食べて生きる」支援、そして口腔ケアによって感染症や誤嚥性肺炎から守る「いのち」に直結した「生きる支援」にほかならない。

大震災は、歯科医療が果たしている尊い使命と役割、根本的な「歯科の価値」を浮かび上がらせた。だからこそ、多くの新聞に歯科医師の奮闘を紹介する記事や「検視」「誤嚥性肺炎」という言葉が繰り返し登場しているのである。

●「口腔保健」の価値観を

「歯科の価値」は他にも、全身の健康や精神との関わりや審美、アンチエイジングなど、さまざまなアプローチが可能である。

「Quintessence」6月号で山口知世氏が「噛むこと」そして「咬合」の重要性が、介護や福祉の関係者の多くに知られていない状況を打開しようと訴えている(「医療・福祉連携で『口腔保健』を共通言語に!」)。とくに、2030年には75歳以上が人口の2割に達する日本は、医療や介護、福祉すべての分野で大転換を迎える。その社会システムの変化のなかに、歯科はどのように組み込まれるか。将来を見据え、口腔の健全化(口腔保健)が健康の大前提であるという社会的合意の形成、価値観の共有化(共通言語化)が急務と訴えている。

●文句いわず「行動あるのみ」

「日本歯科新聞」は7月12日付の「プリズム」で「災害と歯科の理解度」と題して、震災直後の3月末に、日歯の名前入りで貴金属リサイクルのプロジェクトの広告が全国61紙に出されたことを取り上げ「口腔ケアの重要性を被災地に訴えることこそが大切な時期に広告を出す真意がわからない」と批判している。真当(まっとう)な感性である。

今歯科界が「最優先でなすべきこと」は何か。歯科の被災地支援に赴いた歯科医師たちは、歯科の役割が大きいにもかかわらず、現地の医療チームとの連携がきわめて弱いと指摘している。これから本格化する地域医療の復興、再建に向け、復興構想会議の「復興への提言」が謳う「保健・医療、福祉・生活支援サービスが一体となった地域包括ケア」構想の中に歯科を正しく位置づけるためには、歯科界が自ら率先して動き、訴えなければならない。前述の山口氏の言葉を借りて本欄を締めくくりたい。

「(今後歯科の役割が大きくなると)自分たちが思っているだけでは需要は生じない。社会の理解がないと文句を言っている時間はない。行動あるのみである。」至言である。

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