歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

歯科医院発『信頼』のウェーブを

●「モラルハザード」の時代

 1万3千人もの食中毒患者を出し、企業責任が厳しく問われた「雪印乳業事件」から2年。この間、企業モラルはますます「ハザード」(企業倫理の欠如)状態を呈しています。
 昨年9月BSE(狂牛病)感染牛が発見されたことに端を発して、同じSnow Blandの「雪印食品」が豪州牛肉を国産と偽り、国民の税金900万を詐取。今年の春にかけて「ゼンチク」による黒豚、「全農」による鶏肉と大掛りな〈牛・豚・鶏〉の産地偽装事件が相次いで発覚しました。
 さらに、宮城では韓国産牡蠣、大分でも中国産干シイタケ等々、各地の特産品の偽装も次々に発覚し、生姜、梅干から塩まで「偽装表示のテクニック」が雑誌で特集されるなど、怒りを通り越して「信じるほうがバカ」と言わんばかりの空気が日本を支配しています。近所のスーパーでも、「ジャガイモは『北海道』の箱に詰めて売ると良く売れる」と野菜や魚の産地を付け替えることは「常識」と言われるほどです。
 永田町も同様の「モラルハザード」状態。逮捕されて、国会はやっと鈴木宗男議員の「辞職勧告決議」を採択しましたが、小泉さんは疑惑解明に極めて消極的。「政治の信頼回復」のためには何も「断行」できません。既に国民の気持ちは離れて、支持率はピーク時の半分以下(37%「朝日新聞」)まで下落しています。

●釧路発歯科助手無資格診療事件

 6月3日の「北海道新聞」に、釧路の歯科医院が歯科助手に歯石除去処置を行わせたとして、保健所から指導を受けたという記事が載りました(本誌「歯科記事抄録」掲載)。
 むろん、医療行為は資格者が行なうべきことは大原則です。しかし、6万4千の歯科医院に対して、歯科衛生士は6万1千人(実働)たらずという現状を考えてみれば、程度の差はあるにせよ、「逸脱」が起こっているのは日常的な事実と思われます。また、患者さんには(無)資格者の仕事の領域も、資格の有無も、表示しない限りわからない、というのも日本の現実です。
 釧路の問題が注目されたのは、北海道の市立札幌病院の「医師法違反事件」すなわち「当直歯科医師の医療行為」に対する裁判の行方が注目されているという背景があるでしょう。しかし「無資格」に限らず、人間がサービスを提供している以上、歯科医院のあらゆる場面でミスや逸脱、誤りは起こり得ることを考えないわけにはいきません。間違えて隣の歯を抜歯するというミスを犯し500万の慰謝料を請求されたドクターがいたことも記憶に新しいところです(判決は150万)。誤嚥や麻酔などの医療事故や院内感染等、常に危険と隣合せにあることを再認識する必要があります。

●モラル向上・ミスを生まないシステムづくり

 犯罪は言うに及ばず「過誤」を生まないためには、誤りを犯さない細心の注意を払う「モラル」の側面と、「ミスを生まないシステム」の構築が不可欠です。前者には、歯科医療従事者として、地域住民に対して質の高い医療サービスを提供する専門家としての自覚を医院のスタッフ全員が共有すること、後者には、院内業務の「マニュアル化」と「チェック機能」の整備が不可欠です。
 最近注目されているISO(国際標準化機構)の9000シリーズは、「ユーザー(消費者)の満足」を実現し、常に高い品質の製品を提供するためのマネジメントシステムですが、取得を希望する歯科医院が増えています。それは、ミスを生まず、クライアント(患者さん)の満足度を上げる努力が、他の業界同様に不可欠の課題であるという認識の現れです。
 世の中全体が「モラルハザード」「不信の時代」だからこそ、歯科医院から「信頼」の旗を掲げて、ウェーブ(波)を起しましょう。誠心誠意「患者さんの健康と笑顔」すなわち「満足」を実現するために、積極的に取り組んでいきましょう。
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