歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「民の声」を聞け!

1万6千の《声》が求める「医療改革」

●65.5%が「今の医療費は高い」

 「テロ対策法」の陰に隠れていますが、今国会では医療改革をめぐる論戦が戦われています。そのなかで実施したコムネット・インターネット「118アンケート」は、きわめて大きな関心を呼び、2ヵ月間で合計16,370人から回答が寄せられました。正面から「医療改革」を問い、患者・国民の側が、現在の医療にどのような不満を感じており、どのような「改革」を期待しているのか、多くの意見が寄せられました。
 その内容は、小泉内閣が推し進める医療改革が、決して政府がいう「生活者・消費者本位の経済システム構築」につながるものではないことを示しています。アンケートでは、まず、68.0%の人が、現在の歯科医療費は「高い」と答えています。女性は67.9%、世代としては30代(69.0%)が最も多く「高い」と感じています。「窓口での支払金額」は、半数の52.6%が、1回あたり「1000円以内」を希望し、全体の9割は「2000円以内」を求めています。「治療費の明細書が必要」の声も90.8%にのぼり、医療費に対して、患者側が一段と厳しい見方をしていることが浮き彫りになりました。

●33.5%が「不況でガマン、受診減らした」

 支持率が7割に下がったとはいえ「小泉人気」は依然、根強いものがあります。しかし、その人気とは裏腹に、日本経済は失速状態で、完全失業率は半年間に0.5ポイントも上昇し、過去最悪の5.3%、357万人に達しています(この統計は「月末の1週間求職活動をしなかった人」という定義であり実際の失業者はその数倍になる)。
 今後、大企業のリストラ計画(11月24日付朝日新聞「人減らし吹き荒れる」集計で約15万人)が強行されれば、さらに増大するでしょう。「患者激減」という歯科医院の現実は、この不況と高負担の深刻化にぴったり重なっているのです。118アンケートでは、「不況が理由で歯科医院の受診回数を減らしているか?」との問いに対して、実に全体の3分の1、33.5%の人が「減らしたりガマンしたりしている」と答えています。その理由を尋ねると「ガマンできる範囲だから」(56.6%)、「他のことにお金が必要だから」(29.8%)と、生活状態を反映した心情がにじみ出ています。
 11月20日、厚生労働省は国民健康保険料を滞納している世帯が390万世帯にのぼり、1年以上滞納して保険証を取り上げられた(保険証「返還」)世帯も11万を超えている、と発表しました。保険証を「返還」したり滞納していれば、当然病院は遠くなり、病状を悪化させる結果につながります。小泉首相は、今回の医療改革を『三方一両損』という言葉で表現していますが、実際の政策は患者負担増、診療報酬切り下げ、保険者財政悪化のゴリ押しであり「患者いじめ」の一語に尽きています。

●「公的保険不要」は4.9%

 国会内外で、小泉「医療改革」に反対する世論が高まりをみせ、11月23日大阪の2万人集会、12月1日の総決起大会等、自民党への最大献金元である歯科界からも反対の声があがっています。118アンケートでも、現在の健康保険制度について、33.2%の「患者負担を減らすべき」を先頭に、「今の制度の継続」(27.0%)、「公的部分と自費負担分を明確に分ける」(20.7%)と続いています。一方「公的保険をやめ民間保険にする」という意見はわずか4.9%。より充実した公的医療保険を求める声が大勢です。
 年間30兆円にまで膨らんだ医療費、それでも減らない疾病という矛盾のなかで、現行医療制度が行き詰まりを呈していることは、誰の目にもあきらかです。しかし、その解決を「自由化」と「競争原理」の下での「自助努力」に押し付けることは、弱者切り捨て、政治責任の放棄に他なりません。医療費の膨張を是正するには、まずイギリスの3倍、アメリカの1.5倍といわれる世界一高い薬価を引き下げることが先決の課題です。
 医療制度改革は、国民の権利を守りながら、予防へのシフトを推し進めることなしには実現できません。国民の生命と健康に関る根幹だからこそ、医療制度のなかに憲法の精神を貫くことを、強く求めていきましょう。
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