歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

公平・中立の医院評価への扉

医療不信を打破し相互信頼を築く果敢な挑戦

●「歯科医療総合評価研究機構」発足

 4月14日、歯科医院の医療サービスの質を評価する第三者機関「歯科医療総合評価研究機構」が設立されました。準備委員には、福原達郎昭和大学名誉教授(代表)を先頭に、歯科大教授、マスコミ、開業歯科医師が名を連ね、設立時には生保、共済組合など患者・消費者側の代表も理事として加わっています。そして「より正確な情報の提供、国民的視点に立った歯科診療所の総合的外部評価、顧客対応コールセンター設置などによって、患者さん、医療提供者相互の信頼関係を再構築し、歯科医療の充実向上に尽くしたい」と、機構設立の目的を述べています。
 その背景には、歯科医師の数は増えても「より質の高い歯科医療を求める患者さんは満足していない」現実があり、歯科医療界には「医療消費者としての患者さんへの正確で親切な対応と十分な情報提供、顧客としての患者さんが満足する質の高い医療技術」が求められている、と患者(医療消費者)を中心に据えた画期的な内容となっています。この現状認識、あるべき歯科医療の姿は、私たちコムネットの願いとぴったり重なっています。

●カルテ開示・明細書付領収書・悩み苦情相談

 「歯科医療総合評価研究機構」は、右のように、患者さんとこの機構に賛同する医療者の間に立って、相互の理解と歯科医療の質的向上のために以下のような活動をするとしています。
 患者さんに対しては、
  1. 1.カルテの開示
  2. 2.明細書付領収書の発行
  3. 3.誠実に対応する歯科医院リスト提供
  4. 4.悩みや苦情の相談受付
  5. 5.シンポジウム・講習会の開催
  6. 6.セカンドオピニオン制の採用
 歯科医院に対しては、
  1. 1.医療保険に関する解説と指導
  2. 2.機器・材料・人材による経営効率化支援
  3. 3.関係団体、行政に対する提言
  4. 4.ISOなど認証取得支援
 「医療不信」の大きな原因が患者側の情報不足にある以上、医院側が積極的に医療情報を提供することが決定的に重要です。歯科界も他の業界と同じように、患者さんが選ぶ「品質の時代」を迎えているのです。これは歯科医院にとっては高いハードルであり、デメリットと感じる人も中にはいるかもしれません。しかし、積極的な情報提供、親切な対応によって築かれる患者さんとの信頼関係のメリットのほうが、医院経営にとっても何倍も大きな意義を持つことは明らかです。

●「基準」の明確化とチェック体制確立を

 日本歯科医師会は、4月26日の理事会で「詳細はわからないが、公益をもたない組織体が営利を目的とし、多大の混乱を顧みず、これが今後進行していくことを容認すれば大変な問題となる。歯科医療界の秩序を混乱させてはならない。…」と極めて冷淡な反応を示しています(「日歯広報」No.1229)。しかし、真摯に国民に良質の医療サービスを提供しようとする努力に対して「既存の秩序」を持ち出して規制しようとするなら、逆に時代錯誤のそしりを免れないでしょう。
 大事なことは、この「研究機構」に限らず、第三者の評価機構が客観性と中立性を保ち、医院の「総合評価」の基準を明確にして、例えばISOのように、歯科医院の運営が実際に「情報開示を行い、患者さんのニーズに応え、良質の医療サービスを実行しているのか」を定期的にチェックする機構をどのように実現するかにかかっています。歯科界が総力をあげて取り組むべき課題です。歯科の閉塞状況に対する「患者さんの立場」からの果敢なチャレンジと連帯が求められています。誰よりも、国民・患者さんが注目し期待しているのです。
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