歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「チーズはどこへ消えた?」

すばやく対応して「変化を楽しむ」生き方

●Who Moved My Cheese?

 一冊の薄い本が、いまベストセラーになっています。アメリカの医学博士・心理学者であるスペンサー・ジョンソン(Spencer Johnson,M.D.)著『チーズはどこへ消えた?』(門田美鈴訳 扶桑社)。読みやすい寓話で、アメリカでは2年連続のベストセラーを記録、日本でも高く評価されています。
 物語に登場するのは、2匹のネズミ、ス二ッフ(Sniff=かぎつける)とスカリー(Scurry=急いで行く)と、2人の小人ヘム(Hem=とじこめる)とホー(Haw=口ごもる)(hem and haw =おろおろする)。この2匹と2人は「迷路」に住んでチーズを探します。「迷路」のなかで、チーズステーションに十分にあると思っていたチーズが「ある日突然」消えてしまう。その事態に直面したとき、それぞれのネズミと小人はどのように受け止め、考え、行動するのか?…
 「チーズ」とは、仕事やお金、恋人など「人生にとって大切なもの」の象徴です。 読者は、現在の大きく変化する環境のなかで行方を模索している自分の姿を重ねあわせて、物語の世界に入っていきます。マスコミでも、この物語が倒産やリストラという環境の激変に直面している日本の読者に勇気と希望を与えていると紹介しています。

●「変化」を探知し早く適応する

 名前が象徴するように、2匹のネズミはステーションにチーズがなくなっていると確認するや否や、新しい別のチーズを求めて駆け出していきます。小人は「チーズがない」という現実が認められず、怒り、あせり、頭で現状を分析したり、チーズが戻ってくることを期待して、そこから動きません。しかし、ついにホーは「変わらなければ破滅する」と新しいチーズを探しに「迷路」に入っていきます。小人ホーは不安を抱えながらも、行動のなかで次第に確信を得ていきます。ホーの「気づき」を作者はこう書いています。
物事を簡潔に捉え、柔軟な態度で、すばやく動くこと。
問題を複雑にしすぎないこと。
恐ろしいことばかり考えて我を失ってはいけない。
小さな変化に気づくこと。そうすれば、やがて訪れる大きな変化にうまく備えることができる。
変化に早く適応すること。遅れれば、適応できなくなるかもしれない。
最大の障害は自分自身の中にある。自分が変わらなければ好転しない――そう思い知らされた。

●「すすんですばやく変わり、それを楽しむ」

 歯科界の環境変化も、日々刻々進んでいます。激変は「ある日突然」やってくるわけではありません。日々の診療現場のなかに、患者さんのなかに、様々な形で現われてきます。例えば、かつて厚生省は当初2020年と予想していた「1歯科医院1日あたりの患者数16人」という数値をすでに1996年に記録していたと発表しています。経営不安の声も多く聞かれます。しかし「新しいチーズ」は必ずあります。要は、時代の変化とともに自らすすんですばやく変わること。新しい「チーズ」、即ち「新しい需要」づくりに「変化を楽しみながら」向かっていきましょう。一歩足を踏み出したホーはそう教えています。
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