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21世紀セミナーレポ vol.14 講演抄録吉村禎治先生講演 「院長に勇気を、スタッフにやりがいを、患者様に希望を」(3)

行きたくなる歯科医院づくり

 次に、行きたくなる歯科医院づくりについて話します。某社で行ったアンケートに寄せられた回答によると、「治療に関する不満」に関してはやはり説明不足が圧倒的に多いようです。「金銭的な不満」では、治療中断による返金希望が最も多く、次にこの価格が適性かどうか調べたいという声が多かったです。
 実際に「歯科医院に対して希望するものは何ですか」【図1】という質問では、「最新の設備、機械」ではなくて、やはり「治療の丁寧さ」「治療内容、レベル」という答えが多いです。
 「どんな医院には通院したくないですか」【図2】という質問には、今どきそんな医院は無いと思いますが、「医師の態度が悪い」という回答が最も多かったです。
 「受け付けスタッフに一番望むことはなんですか」【図3】では、「親切」「優しさ」「テキパキした動き」「清潔感」という回答が多く、スタッフの「容姿」「若さ」などというものは希望していません。
 「歯科医師の説明に満足していますか」【図4】という質問では、やはり「ときどき説明不足を感じる」という答えが多いです。
 「歯科医師の技量をどこで判断しますか」【図5】という質問では、「丁寧な治療」「治療内容の説明」という回答が多く、次いで「痛くない」があります。
 「歯は大切なものでしょうか」【図6】という質問では、70%の人が「とても重要で、大事にすべき」と答えています。当たり前の結果だと思いますが、実際の治療現場では、患者様には「今痛い所だけ治してもらえばいい」「他は治さなくていい」と言われる場合が多いのではないでしょうか。患者様も本音では歯はとても大切だということがわかっているのです。ですから、歯の大切さを伝える時に、その方法を間違えると「大きなお世話だ」ということになってしまいます。
 「あなたはご自分の口の中の状態をどう思われますか」【図7】という質問ですが、「良い」「まあまあ良い」が48.7%、「悪い」「ひどい」を合わせると50%を超えます。
 「今後、ご自身の歯の健康をどのように守っていかれますか」【図8】という質問では、やはり「年に一回は定期健診を歯科で受けたい」という答えが多かったようです。同じくらい多いのが、「市町村や歯科医師会で行われる健診をできるだけ受けるようにしたい」となっています。市町村や歯科医師会の健診なら「削られない」という思いでしょうか。せっかく歯科医院に健診に行っても、悪い事ばかり言われたら来たくなくなってしまいます。
 「歯科医療の知識はどこで入手されていますか」【図9】という質問では、「テレビ」です。歯科関係の放送があった後は、「先生、むし歯でも死ぬんですね」「歯槽のう漏でも死ぬんですよね」などと言ってきます。ちょっと違うなと思うのですが結構こういう人がいます。あとは「知り合いの話」ですが、ようするに「患者様」の話です。「あそこの歯医者さんはこうだった、ああだった」というような話をするわけです。そして「通院している歯科医師から」という答えが一番多いです。これらを合わせるとすごい割合になります。意外に多かったのは「インターネット」で約30%。これからはインターネットを活用した方がいいようです。
 「新しい歯科の技術の中で、どの分野に期待されますか」【図10】という質問では、一番は「むし歯の治療」、次いで「歯周病」「インプラント」もありますが、「審美」が結構あります。その次が「レーザー」でした。

大切な人を紹介してもらえる医院に

 飲食店を例にあげて「安心して行ける店かどうか」というポイントをあげてみます。「味はいいけど雰囲気が悪い店」。いくら味がよくても雰囲気が悪ければだいなしです。「店員がえこひいきする店」。先に来ているのに、後から来た人の方が先に食べているのは良くないです。「不衛生な店」。なんか汚いなと思う店には行きたくありません。「店員があいさつしない店」。お客さんが来ているのに、店員があいさつをしないというのはよくないです。「スタッフが少なくて、テーブルの上に前の客の皿がのこっている」「忙しいと仕事だけして客に気をつかわない店」。いくら忙しいからといって、前の人の皿がそのまま残っていたり、バタバタ動き回るだけで客に気を使わないような店には行きたくないです。「前回と応対が違う店(スタッフによって応対が違う)」。前来た時は良かったのに、今回行ったら全然応対が違うというのはよくありません。また、見本と違う、ものの割に高いなどという店にも、また行きたいとは思いません。その店しかやっていなかったら行きますが、そうでなければ二度と行きたいとは思わないでしょう。私達は「大切な人を紹介していただける医院づくりをしよう」という目標を持っています。

吉村歯科医院のセールスポイント

 吉村歯科医院のセールスポイントは、まず「痛くない歯科医院をめざそう」ということです。各先生には「痛くないように注射する」ということを徹底しています。もちろん練習もします。患者様たちには、スタッフが全員に「痛くなかったか」聞いています。「ちょっとチクッとしました」くらいならいいです。
 そして、「待ち時間0の歯科医院」。私の医院は早い人だと15分から20分前に来ます。なぜか、時間通りに来る人より早く来る人の方が多いです。ということは、時間通り始められないと5分待つとすごく待ったような気になります。待つというのはすごくいやなことですから、待つんだったらアポイントの意味がないということになってしまいます。ですから、患者様が来られたらすぐ診療室に入ってもらうようにしています。私も遅れたら患者様に謝ります。
 それと「よく話を聞いてくれる歯科医院」です。これもいろいろとジレンマがあります。話したいんだけれど次の人が待っているのでできない、時間がない、ということがあります。こういう時はスタッフの出番です。説明などはスタッフの大切な仕事にしています。
 「腕がよい」、これは当然です。患者様は痛くないのがいいと思っているかもしれませんが、私は長く持つのが腕がいいという事だと考えて努力しています。10年持つような治療をめざしています。
 「衛生的な医院」。最低限ここまではやってもらいたいというのはどの医院にもあると思います。
 「口の健康、歯の健康を守ってくれる歯科医院」。これが最終的に人々が求める歯科医院の姿だと思います。人々は歯を削って詰めてくれる医院を希望していないからです。この6項目をクリアすれば、患者様の満足が得られるのではないでしょうか。

患者さんのことを考えた環境整備

 当院は無痛注射法を使用しています。これだけでかなりアピールする力があります。「あ、新しい注射だ。」「痛くない麻酔は今までで初めてですよ」と、患者様は感動します。さらに、スタッフが合谷マッサージをしています。痛い時でもここを揉むと痛みが止まるというツボをマッサージするのです。これだけで安心感があります。結構時間がかかりますが患者様には好評です。
 衛生面の取り組みでは、当院では紙エプロン、グローブ、ヘッドカバーを患者様ごとに替えています。結構面倒です。もちろん紙コップも替えますし、計算すると一人分50円になります。この50円が高いか安いかです。50円で患者様にアピールができると思えば、安いものです。この50円がもったいないという医院とでは大きなひらきがあると思います。
 吉村歯科医院では、患者様は土足です。これは結構好評です。入口に10足の靴が並んでいるとぞっとしますけれども、それが無いのですっきりしています。待合室もその分すっきりして見えます。昼休みにはスタッフが床ふきをしますが、思ったほど汚れません。
 医院の環境の整備ですが、当院では水のサービスをしています。夏場は10リットルが3つくらいなくなったりします。やはり、患者様には治療の前に水を飲んで雑誌を読んで、リラックスしてほしいと思います。
 待合室には液晶テレビを置いてあります。将来的にはここで医院の情報を流せるようにと考えていますが、基本的には待合室にはそういうのは必要ないと思います。ポスターにしても、医院に入ったらいきなり歯のことばっかり書いてあるとか、歯の写真ばかり貼ってあるというよりも、待合室はリラックスできる空間にする方がいいと考えています。

[構成 編集部]