歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

歯科をめぐる2000年問題

コンピュータよりも手強いWTO

●西暦2000年を目前にして

 西暦2000年まで2ヵ月を切りました。以前から「コンピュータが誤作動する恐れがある」と警告されていたにもかかわらず、あと2ヵ月という段になって「飛行機に乗ると危ない」「ライフラインがストップするかも」という危惧が広まり、政府も水や食料の備蓄を呼びかけるなど、不安は日に日にエスカレートしています。
 しかし、政府によると対策は既にほぼ終わっており、不安が募ってパニックに陥ることこそ心配です。しかし実際1月1日になってみなければ「何が起こるかわからない」のも事実。「恐れ」が杞憂であることを祈りつつ、改めて「万が一」の危機管理態勢を再点検する機会にしたいものです。
 幾人かのドクターに訊ねてみると、
  • 1.水・食料・電池・燃料の備蓄
  • 2.当座の現金を用意
  • 3.1月は5日頃まで休業
  • 4.緊急時のマニュアルを準備
等の対策を考えているという答えが返ってきました。

●歯科における「2000年問題」

 同じ「2000年問題」でも、医療における「2000年問題」は殆ど注目されていません。しかし、こちらの「2000年」は日本医療の根幹を覆す「医療ビッグバン」の出発点の年に他なりません。昨年スタートした「金融ビッグバン」は、今も極めてドラスティックに金融機関の淘汰再編を繰り広げています。
 2000年、こんどは医療分野にWTO(世界貿易機構)が乗り出し、かつてGATT(関税と貿易に関する一般協定)で日本に通信・農業・金融の自由化を迫ったように、30兆円に及ぶ日本の医療サービスを開放することを強力に求めてくることは明らかです。貿易交渉の舞台で協議されること自体、市場原理導入の意図を表わしています。
 アメリカは、昨年東京にHIMA(健康産業製造者協会)の事務所を開設し、「開放後」に備えています。大義名分は「市場開放と規制緩和こそが患者の利益」。「消費者主導による真の医療革命」(英経済誌『London Economist』)として、日本の医療が遠からず他のサービスと同じ選別・淘汰の道を歩むことになることは容易に想像できることです。

●いかなる激変にもゆるがない経営の礎

 医療ビッグバンの下で、21世紀初頭は歯科界も激変の時代を迎えます。それは、先行している金融や農業の自由化の下での日本の現実が示すように、業界にとっても国民にとっても明と暗が絡み合った「諸刃の刃」となるでしょう。医療サービスを完全に市場原理に委ねることはできませんが、日本の閉鎖的な医療体質を抜本的に改革し、DRG等の医療の「国際評価基準」をもとに国民に情報開示と選択の可能性が広がることに異論はないでしょう。
 その時代を前に、患者さんに評価され、愛される医院づくり、診療理念と経営方法の構築が急務です。いかなるハリケーンの激変にもゆるがない経営の礎、それは患者さんとの相互信頼の確立にあることを改めて肝に銘じておきましょう。あと400日余りで21世紀です。
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