歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

忘れてはならないこと

日本歯科医学界総会in福岡

4年に1回開催されている「日本歯科医学会総会」、23回目の今年は初めて関門海峡を越えて九州・福岡の国際会議場で開催されました。テーマは東京大会と同じく「歯科医療 未来と夢」。日本の医療の転換点に立って、健康で夢と希望にあふれる時代にするために、歯科の役割と課題がより深く探求された大会でした。

テーマを俯瞰しただけでも、治療技術と並んで「美味しく食べて、おしゃべり上手は健康長寿」「口腔のサルコペニアと認知症の摂食嚥下障害」「超高齢社会における根面う蝕への挑戦」「健康長寿に配慮した総義歯治療」「地域連携最前線」「高齢者歯科のキーワードは栄養である」「もっと知りたい全身と歯周病の関係」等、超高齢社会に向けた包括的医療における歯科の役割を前面に打ち出したものが全体の半分近くを占めていました。

また、4月の熊本地震をテーマにした「震災時の歯科保健の重要性〜熊本での実践から〜」のセミナーが準備され多くの参加者が集まりました。

コムネット震災セミナーを開く

歯科医学会に併設して開催された「日本デンタルショー」2日目、コムネットは出展社セミナーを開催しました。テーマは「突発的事態に負けない医院経営の極意〜マネジメントと財務の必須課題〜」、Together誌上で苦情対応を連載している山崎芳徳先生(日本歯科医療相談センター所長・熊本市開業)と同じく長期好評連載「経営ドクター フクダにオマカセ!」の税理士福田英一先生。お二方とも九州を基盤に旺盛な活動を展開しています。

山崎先生は、体験した人でなければ言い表せない震度7の恐怖、水や電気が止まったことへの不安、心の支えだった熊本城崩壊の衝撃、自宅が被災して避難所暮らしになったスタッフの心配、急激な収入減と経営難への対応…。怖れに向き合いながら一つひとつの課題に迅速に対応し、生活と診療体制を復旧させていきました。

全てを「人のために使い切る」

「僕は人生の最期に言おうと決めていた『おかげさまで人生を楽しく暮らせました。本当にありがとうございました』。これを3回大きな声で唱えました。そして腹をくくってお金を借りられるだけ借りて策を練った。生きてさえいればなんとかなる、そんな思いで乗り切りました」。山崎先生は大らかにそう語りました。

彼は5月の連休で熊本地震で一番被害が大きかった益城に瓦礫撤去のボランティアに行きました。「そこで自分とは比べ物にならない被害を受けたのに益城の人からたくさんの感謝と笑顔をいただきました。僕は恵まれている。歯医者は恵まれている。僕はそのとき『自分のお金も身体も人の役にたつように使いきる。出し惜しみしない』そう心に決めました」と講演を締めくくりました。お話は参加者に大きな感動を与え、最前列で聴いていた参加者はずっと目頭を押さえていました。

震度6弱の地震が鳥取を襲う

デンタルショー初日の会場に「鳥取で大きな地震があった」と緊急ニュースが走りました。鳥取中部、倉吉で震度6弱、その後相次いで宮崎や大分でも震度3から4の地震が続いています。

私たちは地震や台風、豪雨、火山噴火などはいつどこで何が起こっても不思議ではない環境のなかで生活し、診療し、営業しています。それは「突発的」ではなく「日常的」でさえあるといえます。東日本大震災から5年半、熊本地震から半年、被災地以外では震災の記憶は急激に「風化」が進んでいます。しかしそれは危険です。決して忘れてはなりません。また、必ずやってくるのです。日常からの備え、つながり、そして信頼構築の努力を強めていきましょう。「次の災害」それは明日、あなたを襲うかもしれないのですから。

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