歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

医療連携にターボかけて!

再び「2025年問題」を考える

高齢者人口が3500万人になり、「団塊世代」が大量に75歳以上(後期高齢者)を迎える「2025年問題」に警鐘を鳴らす報道番組が増えています。そしてその後さらに人口減少と超高齢化時代が続きます。

しかし、世界史上未体験のことで、いったいどのような社会になりどんな事態が起こるのか。わからないだけに不安だけが先行しているかもしれません。

確実にいえるのは、高齢化にともなって有病者が大幅に増えるということです。しかし「病院が足りない」「どこへも行き場がない」、その結果誰にも看取られず「孤立死」や「孤独死」が増大するのではないかという惧れが誰の胸にもよぎっていると思います。

それを防ぐために今からできることは何か。歯科にはどのような役割が求められているのか、それを真剣に考え、予測し、そして力をつけて「その時」を迎え撃つ体制を整えることが急務と考えます。

「最期まで元気」な老化モデル

昨年7月に開かれた第19回口腔保健シンポジウムでも超高齢化がテーマになりました。名古屋大学の内藤真理子氏が「健康長寿と口の健康」と題して講演。「最期まで健康で人生を終える」という「新しい老化のモデル」(図)を示して、それを実現するうえで歯科が果たす役割を強調しました。口腔ケアと肺炎の関係、歯牙喪失と心臓病や脳血管障害など全身疾患の相関データを紹介し、後期高齢者の「健康寿命」を延ばすために、早くからの歯の喪失予防、医療連携の下での早期の歯科的介入、口腔機能向上の必要性を訴えました。「健康寿命」を延ばし病院を頼らずに「最期まで元気に生きる」、それは大幅な医療費削減にもつながります。歯科のターゲットと目標はすでに明確です。

みんなで力をあわせて

歯科の果たす役割はわかった。でも、どうすれば?とお考えかもしれません。時代は一つの歯科医院だけ、一人のドクターでがんばるのではなく「力をあわせること」を求めています。まずは歯科医療界の結束、そして他の専門分野との協力関係が不可欠です。本誌で紹介している医療福祉生協や12月号で紹介した吹田歯科医師会の活動は、組織のもつパワーとすばらしさを示しています。従来の「差別化」や「勝ち組」といった概念とは異なる、地域住民や患者さんにとっての新しい「価値」を創造する、可能性に満ちた時代ととらえていきましょう。

医科・歯科連携加算決まる

おりしも2月12日中医協(中央社会保険医療協議会)が4月からの診療報酬改定を答申しました。その特徴は、新たに医科に「歯科医療機関連携加算」(診療情報提供)が創設されるなど、医科・歯科連携を後押しし、さらに訪問診療、周術期口腔機能管理、有床義歯管理を統合して「口腔リハビリテーション」によって口腔機能の維持回復を図る内容になっていることです。補綴ではこれまで「先進医療」対象だったCAD/CAM冠が新規に保険適用されたことも含め、トータルな意味で「歯科の役割」が注目され、見直され、そして評価が高まっていることを示しています。

これを医科歯科連携にターボチャージがかけられたと受け止めましょう。そして、より患者さんとのつながりを強め、地域の病院・診療所・介護福祉の人々と連携して、口腔のプロフェッショナルでありホームドクターとして地域の人々の「健康長寿」に貢献する歯科医療をすすめていきましょう。

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