歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

すべては〈信頼〉がカギ!

●「週刊朝日」 3週連続企画

週刊誌上で歯科があらたな注目を集めている。2009年7月「週刊朝日」が「いい歯医者」を特集し、その後1200医院を紹介する小児・矯正・歯周病版ムック『Q&Aでわかる いい歯医者』を発行した。その「朝日」が10月に3週連続でインプラントの問題点を追及する「ブームの陰で インプラント治療の危うさ」を連載し波紋を広げている。

「週刊朝日」の発行部数は29万部(JMPA)。一般週刊誌13誌の平均が約35万部であり「朝日」が極端に多い部数ではないが、比較的意識の高い「関心のある人」が読む雑誌であり、その影響力は小さくはない。

現在、インプラントを自由診療の「柱」にしている医院も多く、マスコミ、一般市民、患者がインプラントをどのように受け止めているのかを知り、自院をチェックする情報源としても有益である。
(同時に、朝日新聞出版から『知らないと怖いインプラント治療 後悔しない20のポイント』が出版されているので併せて参考にしていただきたい。)

●「インプラント治療の危うさ」

連載はまず2007年5月、「世界でもナンバーワンの臨床実績」を誇る著名な歯科医師(当時63歳)のインプラント手術中に起こった死亡事故をめぐって、その後の裁判の経過を追うとともに、インプラント治療で「安全をないがしろにした治療がはびこり、泣いている患者もいる」実態をレポートしている。

その実例が2例。ひとりは500万をつぎ込んで6本のインプラントを埋入した患者。一部が歯茎の粘膜に露出して膿がとまらない。治療した歯科医師は自己破産して廃業、行方知れずになった。

もうひとりは200万で8本埋入手術をした患者。手術の際に神経を傷つけて顎の痺れが治らない。他の医院でインプラント手術をやり直してさらに150万かけたが、インプラント歯周炎に罹患し毎月治療に通っているというものだ。

いずれも深刻な事例で、こうした事故、失敗例をみると多くは「インプラントは怖い・高い」と身構えることだろう。これは「極端な例」かもしれない。しかし実際に起こった事故である以上、それを「マスコミによる風評」と片付けてはならない。記事は「インプラントはきちんと治療すれば、本来の歯の機能を取り戻せるすばらしい治療」と評価している。しかし、確実に医療事故は増えており、各地で強引な導入やずさんな治療が行われていることも事実である。

●技術&コミュニケーション力

世界のインプラント市場は30億ドル(約2700億円)、日本では年間45万本、2百数十億円といわれる。この不況下、家計の可処分所得が減少する中では大きな伸びは期待できない。しかし、インプラントは患者にとって価値のある治療法であり、いかに景気が悪くても、患者があふれ、自費もインプラントも伸びている医院があることによっても証明されている。

選択するのは患者である。「患者に選ばれる」歯科医院でありインプラントであるためには何が必要か。その答えは「信頼」である。それを支える医療サービスの質、即ち核になるのは「技術力」と「コミュニケーション力」にある。

9月、1万人を超える会員を擁する日本口腔インプラント学会が開かれた。そこでは「安全性」の徹底が訴えられ「国民の信頼獲得こそが最終ゴール」と強調された。まさに急務である。医療者は徹底した技術の研鑽と安全性の追求につとめ、インプラントのメリット、デメリット、リスク、メンテナンスの必要性、保証制度、そのすべてを十分に説明しなければならない。

正しく伝え、そして患者は納得し、最善の治療法としてインプラントを選択する。そのプロセスが大切である。

雑誌の記事を「風評」としてではなく、歯科界が正面から受け止め、解決し、突破すべき課題としてとらえ、それを患者さんとの信頼関係を強める糧としてゆくことを提言したい。

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