歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「領域拡大」で経営の打開を

●歯科医師の自殺

またしてもショッキングなニュースが飛び込んできました。東京都内の歯科医師(57)が診療報酬の不正請求への指導監査を苦に9月17日、自殺したのです。歯科保険医協会が社保事務局に提出した抗議文によると、歯科医師は昨年4月と今年1月、3月に個別指導を受け、不正請求の疑いで監査指導が行われる9月20日の直前に自ら命を絶ちました。

厳しい追及に精神的に追い詰められての自殺。最初の個別指導では「こんなことをしておまえすべてを失うぞ。今からおまえの診療所に行って調べてやってもいいぞ」などと恫喝され「なぜあそこまで人権を無視したことを言われなければいけないのか」と涙ながらに訴えていたといいます。同協会は行き過ぎた指導監査に強く抗議しました。

●不正請求は許されない

人権無視の指導監査が批判されるのは当然のことです。と同時に、患者、国民の側からみると、事件の背景である歯科界の暗部「不正請求」に対する社会の厳しい批判があることを裏付けるものです。同じ社会保険庁で、年金保険料が公務員によって3億4千万円も横領されていた実態が明らかになり、厚労省は刑事告発する構えです。それと同様に、健康保険の不正請求も国民の目から見れば同じ横領とみなされるのは当然であり、今後不正への追及は厳しさを増すことは確実です。第一に、個々の歯科医師のコンプライアンス意識の向上が求められます。不正請求は患者を欺き、何より歯科医師としての自分自身を欺く行為です。

●人権無視の指導監査

もちろん、行き過ぎた指導監査は直ちに是正されなければなりません。協会は、1993年富山県で起こった個別指導後に歯科医師が自殺した事件の際、厚生省も技官も反省したはずなのにその教訓が生かされず、いまだに厳しい個別指導が行われているとして、「1.指導監査により歯科医師を死に追いやったことへの謝罪 2.問題が解決するまで指導・監査の実施中止 3.指導監査の抜本的改善 4.第三者による指導監査の監視体制 5.今回の事件に関与した技官の氏名公表と罷免」を求めています。

●領域拡大で増患・増収を

しかし問題の本質は、個々の意識の問題を超えた歯科医院の経営状態の悪化にあると考えられます。診療報酬の切り下げを受けて、昨年の歯科医療費が700億円も減少し、繰り返し「歯科医師の5人に1人がワーキングプア」と報道される現実が進行しています。特に、1万人を超える歯科医師を擁する東京では、歯科医院の月平均の収入は230万円で全国最低、最高額の秋田県365万円の63%にすぎません。う蝕・歯周病の2大疾患をメインに保険中心で診療している医院の窮状は容易に推測できます。

私たちは、こうした現実の中でも、歯科の新しいターゲットである「口腔から全身」を視野に拡げた診療や、患者さんの「美と健康」の願いに正面から応える診療を実践するなら、歯科の「市場」は無限ともいえる広がりを持つと考えています。

現在、各地で開いているパタカラセミナーで提案しているMパタカラによる摂食機能療法へのアプローチは、歯科領域を拡大し、この厳しい時代を突破する道を拓(ひら)くものとして、参加者に大きな感動を与えています。講演の中で、秋広良昭博士は「表情筋を使った、簡単で確実に効果の出る治療法を導入して、みんなが楽しく笑顔で診療し、経営を向上させましょう」と訴えています。極めて現実的で実践的な経営飛躍のノウハウです。

「不正請求」ではなく、「領域拡大」で、危機を乗り越え増患・増収の医院経営をすすめていきましょう。

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