歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「患者本位」のパワーで

●「みんなの歯科」ネット誕生

歯科界に新しいネットワークが誕生しました。NPO法人の「みんなの歯科ネットワーク」です。歯科医師、医療者のみならず職業や出身校など「一切のしがらみ」を捨てて「医療を良くしたい」というただひとつの合意点をもとに運営するというユニークな組織。先ごろ開かれた設立記念シンポジウムでは、それぞれの立場で「本音」で語り合うアツイ討論が繰り広げられました。

このネットワークの「信念」には、〈その一〉歯科医師のみならず歯科技工士、歯科衛生士、そして「医療の主役である患者さん」の視点をもって医療制度を考えていこう、とあります。〈その二〉NPOにしたのは「上下関係をつくらず誰でも、いつでも、どこにいても参加できる組織」にするため。〈その三〉この組織の目的を「医療従事者も患者さんも共に幸せになれる医療制度の構築」に照準を定めています。それも、理想を求めるのではなく、あくまで実現可能な制度を追究する、という現実的な解決策を話し合う「プロセス」を大事にしていることが注目されます。

● 「医療崩壊」の危機深化

昨年の診療報酬マイナス改定を境に、歯科界には一段と厳しい風が吹き荒れています。帝国データバンクによると、今年の医療機関の倒産件数は2001年以降最多のペースで推移しており、1月から5月のわずか5ヵ月で、ここ数年間の年間倒産件数(2006年30件、2005年28件)に匹敵する28件に達しています。

その背景には、各方面から指摘されているように、小泉内閣が強引に推し進めた医療費抑制と患者自己負担率の引き上げ、医師養成抑制の政策が「臨界点」を越え、小児科や地方の医師不足に象徴される「医療クライシス」にあることは明白です。

会員情報誌Together2007年7月号のインタビューで登場していただいた札幌の古賀先生は、昨年の4月改定を「歯科つぶし」と受け止め、医院改革を断行して猛烈な巻き返しをはかりました。「ビジョン」と「行動力」の差が明暗を分けましたが、医療者にとっても患者さんにとっても、「安心できる医療」の制度を構築すること、また、そのために行動を起こすことが求められています。「みんなの歯科ネットワーク」が、「本音トーク」の中から、時代を動かす現実的な「力」を生むことを期待したいと思います。

● 「愛は自転車に乗って」

前回、「この町を健康で元気な町にしたい」と「予防戦隊歯ピカレンジャー」に扮して地域を巡っている熊本のみすみ歯科を紹介しましたが、大都会東京の新宿でも、地域で寝たきりになっている要介護の高齢者の家を自転車で訪問診療に回っている歯科医師夫妻がいます。五島朋幸・登世子両先生。10年間で4千人の通院困難な患者さんの許を、雨の日も風の日も、猛暑の中でも自転車で訪問し続けています。その原動力は、「口から食べること」で患者さんに笑顔が戻り、生き生きと元気になる姿に、歯科医療の力とすばらしさを実感しているからです。「生きることは食べること」、患者さんはもちろん、家族にも生きる力、勇気と感動を与え続けています。

医療制度を考えるとき、その原点は「患者さん」にあります。「医療の主役である患者さん」を真ん中にして、みんながハッピーになれる制度を考え、行政や政治に提案し、要求する、ダイナミックな「パワー」を発揮していきましょう。その前提となるのが、患者さんの笑顔と健康のために、日々真剣に努力し続ける医療者の姿勢ではないでしょうか。「患者本位」のパワフルな活動をベースに、データを積み上げて提案するなら、きっと国民世論の支持を得られるはずです。

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