歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

『ラストホープ』と歯科医療

●年間手術数900の脳外科医

テレビ番組BS「情熱大陸」やTBS特番「世界のブラックジャックを探せ!」等で紹介されたアメリカ在住の脳外科医、福島孝徳氏をご存知の方も多いと思います。スゴイ人です。1942年東京生まれ、日本での病院勤務時代は年間900以上の手術をこなし、アメリカに拠点を移した今でも年間400もの手術を行うバイタリティーあふれるドクターです。世界各地を飛び回り、手術を一日に3件も4件も、時には同時進行で進めていきます。

極めて成功率の高い手術。患者の負担を軽減するマイクロスコープを使った「鍵穴手術」、そして超ハイスピード手術が「ゴッドハンド」と呼ばれる所以でもあります。全米をはじめ世界各国から特別困難を極める症例が集まるウェスト・バージニア大学は患者を救う「最後の切り札」、そこで患者さんをしっかり受けとめ確実に治す福島医師はまさに「ラストホープ」なのです。

●すべては患者さんのため

福島氏はまた「ブラックジャック」の異名もとっています。彼は著書『ラストホープ 福島孝徳』(徳間書店)のなかで、自ら進んで世界中を飛び回る理由をこう語っています。

「すべては患者さんのため。その一言ですよ。僕が動いて、それで喜んでくれる人がいるんなら、地球の果てだろうがなんだろうが行きますよ。だって僕は医者なんだから」。

また、「ゴッド・ハンド」と呼ばれることに対して「私は『神の手を持つ男』ではなくて『神に助けられてきた男』です。…『神に祈りながら、必死で病気と闘っている男』です」と語っています。「神の手は持っていないけれど私の手で治せる患者さんは大勢いる」と。しかし患者にとっては、このようなドクターこそが『神様』のような存在ではないでしょうか。

● 「患者の権利」を守る医療

世界の医療哲学そして医療システムの潮流は、確実に医療者・疾病中心のDOS(Doctor・Disease Oriented System)から、患者・人間中心のPOS(Patient・Problem Oriented System)の時代へと移行しています。本誌で紹介している「明日の歯科医療を創る会POS」は、世界医師会の「患者の権利に関するリスボン宣言(改訂)」の精神を基に、独自の『患者の権利章典』を制定しています。
要約すれば

  1. 1.良質で安全な歯科医療を公平に受ける権利
  2. 2.人格を尊重され歯科医療提供者と相互協力の下で歯科医療を受ける権利
  3. 3.納得できるまで十分な説明、情報を受ける権利
  4. 4.他の医師の意見を求める権利
  5. 5.治療方法を自らの意思で選択する権利
  6. 6.診療記録の開示を求める権利
  7. 7.個人情報を保護される権利

の7項目、「医療の主人公は患者」という基本原則の宣言に他なりません。

●「名医の条件」とは何か?

福島医師の姿勢もこの精神に重なります。彼は、まず患者さんに説明する、情報提供することが大前提と考えています。そして、「名医」となる3つの条件として才能・努力・経験をあげ、そして手術を行なう医師に必要な3要素として、技術・道具・神の助けをあげています。しかし「それだけではダメなんです」と続けます。「何よりも大事な名医の条件、それがハートなんです」と言い切ります。歯科においても同じです。

最後に、『ラストホープ』で述べられている「医療に携わるあらゆる人たちへ」という以下の提言を、歯科界にとっても価値のある言葉として紹介したいと思います。

−お金のために働くな。/人のため、世のために働きなさい。/挫折はあるだろうけれど顔で笑って心で泣いて。/仕事は楽しく、患者さんには喜びと幸せを。/持てるすべての力を患者さんのために生かしなさい−

私たちも、「ハートフル」な医院、歯科界の創造めざして、ご一緒に力を尽くしてまいりましょう。

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