歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

徹底解明で国民の信頼回復を

歯科医師国家試験漏洩事件の示すもの

●漏洩には「歯科医師法」違反の刑事罰則

 2000年3月、二人の「予備校生」からの「現役への25問に比べて浪人の自分には11問で不公平」という奇異な「漏洩告発電話」に端を発した「歯科医師国家試験問題漏洩事件」は、疑惑の渦中にある奥羽大学を中心に大きな社会問題となっています。主張を二転三転させ、卒業試験問題も改ざんするなど、「奥羽大は嘘を嘘で塗り固めている」と国民の怒りをかっています。
 「歯科医師法」第28条には歯科医師試験委員らの「不正行為の禁止」が明記されており、違反した場合は刑事罰が科せられます。曰く「故意若しくは重大な過失により事前に試験問題を漏らし、又は故意に不正の採点をした者には1年以下の懲役または1万円以下の罰金に処する。」過去においても1991年、鶴見大学で試験委員だった教授が問題を学生に教えて逮捕されました。
 歯科界ではかねてから「試験問題漏洩」は「常識」とされ、恒常的に行なわれてきたという指摘もあります。問題の核心は、国民の命と健康をあずかる歯科医師の「国家試験」の権威と信用を根底から失墜させたということです。国民に広がる歯科医師への不信感、それが歯科界全体に向けられているという、事の重大性を再認識しなければなりません。

●新聞各紙が鋭い矛先の「社説」掲載

 問題の大きさを反映して、新聞各紙は「社説」「主張」で今回の事件をとりあげています。まず「読売」(8・18)が「根深い漏えい体質にメス入れよ」と歯科医師過剰時代を背景にした大学の「生き残り競争」を指摘。その後も「歯学部自体が歯周病状態」(産経 8・19)、「漏えい疑惑の土壌が広く、腐りきっている」(福島民友 8・20)、「レベルが保てるのか、最大の被害者は国民である」(東京 8・23)、「問われる大学の危機管理」(河北新報 8・23)、「二度と起きないよう制度の大改革を」(毎日 8・26)、「信用かけ疑惑の解明を」(朝日 8・26)と鋭い矛先を向けています。
 各紙とも、歯科界の「体質」を問い、合格率を上げるために「組織的漏洩」を行っていたのではないかという疑惑追及の手をゆるめていません。各大学の卒業試験問題を洗えば、その一端は自ずと明かになります。差し替え前の国家試験問題(口腔衛生)の25問中、奥羽大の卒業試験と17問が一致していたという事実は何を物語っているでしょうか。

●国民の目で見、患者さんの立場で考える

 いま大事なことは、不正から目をそらさず、国民の立場で事態を真正面から捉えることです。国民は、歯科医師は学生時代から業界ぐるみ「悪なれ」しているのではないか、自分が通っている医院の先生はどうなんだろうか、そう思っています。良識ある多くのドクターにはつらいことであり、迷惑なことです。
 しかし疑惑は歯科界全体にかけられているのです。それを徹底的に洗い出し、解明し、不正を生まない制度(医科では来年から問題のプール制を導入する予定)を作りあげ、公正な試験を実施するしかありません。歯科界の「体質」を近代化し、信頼されるようになるために力を尽くしましょう。そして何よりも、日々の誠実な診療を通じて患者さんとの信頼の絆を確かなものにすること、それが最も大きな課題ではないでしょうか。
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