


2007年9月30日、福岡市・福岡商工会議所において、第29回コムネット21世紀セミナーが開催されました。講師は会員情報誌TOGETHER「経営ドクター福田にオマカセ」でおなじみの、税理士・ファイナンシャルプランナーの福田英一氏、8/9月号の同誌のインタビューに登場し「歯科界に元気を与える」ドクターとして大きな注目を集めている、斉藤欽也氏(静岡県富士市開業)の2氏。「守り」と「攻め」の両面から歯科医院経営の体力アップ、飛躍の条件を語っていただきました。参加者は身を乗り出して、両氏の語る言葉に熱心にうなずいていました。
![]() ![]() 数値面から見た、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフローと、専門的で難しそうな話も、福田先生は、どんな形の貸借対照表がいいのかなど、具体的に分かりやすく説明されます。 「資産の方は固定資産は小さく、流動資産である現預金は大きく、売掛金は小さく。負債の方は資本を大きく、自己資本比率は30%以上であればGOODです!」 なぜ現預金が多い方がよいのかというと、「いつでもすぐに出費ができる準備があること」を示しているからで、なぜ売掛金が小さい方がよいのかというと、「今、手元にない資金で、いつ、ちゃんと回収できる資金か分からないから」だと、先生は言います。自己資本比率30%以上というのは、医院の経営状況が安定しているかが判断できる数値なのだそうです。 それでは、人の面から見てみる経営力はなんでしょうか? 「医院でよいリーダーシップをとれていますか?」「リーダーシップはとれていても、スタッフをしっかりマネージメントしていますか?」 先生の問い掛けに、参加者が真剣な眼差しに変わっていくのが印象的でした。 「山本五十六の言葉を借りて、まずは『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめる』ことから始めましょう。そうしないと、人は動かないし、育たないのです。スタッフと話し合い、耳を傾け、承認し、何かのミッションを任せてみませんか。良いスタッフがいても医院は良くならないのです。良い院長がいて医院がよくなる。院長が変われば医院も変わるのです」 笑顔と優しい声で語られた先生の言葉には説得力があり、胸に響きました。講座の後の「なんでも語ろう会」でも終始笑顔で答えられていた福田先生は、とても紳士的に感じられました。 (T)
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![]() ![]() 医院経営が飛躍するためには、5つの条件があるそうです。「夢を持つ」、「患者さん中心の診療」、「スタッフ主導の医院」、「自由診療中心の医院」、「絶えず学び・実行・変化し続けること」。 まず「夢を持つ」こと。先生は常に夢を持ち、5年後、10年後の目標までも設定しています。今年立てた70個の目標のうち、すでに半分以上が達成されたそうです。このように着実に、目標を立て、将来像を常に描くことが重要だと言います。 次に「患者さん中心の診療」。多くの先生方も心がけていると思います。しかし、新患獲得に精を出しすぎていませんか。「穴のあいたバケツに水を入れても増えません」と先生は言います。まずは既存の患者さんの満足度を高めることを優先させます。穴をふさぐことで無駄な労力、経費を出さずに済むという訳です。 3番目には「スタッフ主導の医院」。サービスが向上しないのは、優秀なスタッフがいないからだ、と言い訳していませんか。スタッフを輝かすことが出来るのは医院の長である先生方の仕事。どんなスタッフにも「あなたが医院にとってどれだけ重要な存在であるか」を伝え、自己重要感を与えます。責任感が生まれたスタッフが輝けば、医院も輝いてくるそうです。 4番目の「自由診療中心の医院」には、患者さんとのコミュニケーションが必須。先生の医院では、帰られる時に患者さんが手ぶらであることはほとんどないそうです。患者に情報を伝え、スタッフが自信を持って治療説明できる環境が整っています。 最後に、「絶えず学び・実行・変化し続けること」。これは言葉通り、何事も試しに動いてみなくては変われないということです。 感動をスタッフと患者さんと共有できる、そんな医院をつくりあげることができた斉藤先生の素晴らしい講演でした。 (K)
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