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■はじめに出版社が新規にリハビリの本を出す際には、今のリハビリ方法で本当に効果があったのか、現場の意見を独自に調査してから本の出版をする義務があります。同じように、リハビリやエキササイズについて、新たに書籍を書かれる著者は、記載される方法で本当に効果が期待できるかどうか、実例を挙げて書くべきです。特に、脳梗塞のリハビリについては、発症後半年以上経過した患者例の実例を挙げるべきです。単なる執筆者の思い付きの方法であっても、読者はそれが真実であるか短期間に確かめることが出来ませんし、確認するためには多大な時間の経過を要します。 ぜひとも読者である歯科医師や歯科衛生士(DH)も、患者に改善効果がなかったら、沈黙しているだけでなく、リハビリ方法を指導した先生の責任をもっと厳しく追及すべきです。少なくとも科学を志す歯科医療関係者は、互いに厳しく切磋琢磨すべきです。関係者による無責任な行動は、困っている市民にとても迷惑な結果を残すということを忘れないでください。皆で考えて、誤りに対し声を上げ、是正していかなければなりません。 ■反転した厚生労働省厚生労働省は医療費抑制策の一環として突然、昨年4月脳血管疾患後遺障害のリハビリ期間の受診制限を打ち出しました。恐らく厚生労働省は、この様な決定を出す前に十分なリハビリ現場の実態調査をし、国内や海外での文献を調べ、現行のリハビリでは自然治癒が起きる半年を経過すると後遺障害は改善出来ないと結論付けた上で決定したものと思われます。しかし、医学に無知な患者家族は感情的に反発し、署名活動をはじめ、そこにマスコミも同調し、国民的な反対運動にまで高め、皆でこぞって大反対をしました。厚生労働省は、まさに悪の代名詞のような扱いでした。 厚生労働省も、まさかこの様な反対の大合唱が起きるとは想像もしなかったのでしょう。お役人的な、上から下にものを申し渡す「お上意識」が災いしたようです。リハビリ期間の制限を打ち出す時に、リハビリの現状をもっと詳細に国民に知らせれば、事態も変わっていたのではないかと思います。 ■「無責任」と「被害者」私は、厚生労働省の態度だけを批判したいのではありません。厚生労働省がこのような通達を出すに至った後に、高名な先生は何ら反論もせずに無言を通し、逆風が止むや直ちに、実績の出なかった、いわば「無効なリハビリ方法」を、まるで効果があるかのごとく書籍を通して発表しています。その心理はなんだろうとの疑問が生まれるのです。 効果が認められなかったから、やむを得ず厚生労働省も通達を出したにもかかわらず、現場の悩みも知らず、何事も無かったかのように、まったく反省の見えない姿には呆れ返るばかりです。もしかすると、そのリハビリでは本当に効果がないと、現場では声が上がっているとも知らずに、書いているのかもしれません。 1番被害を受ける人は、末端の脳血管障害で後遺症に苦しんでいる人と、このリハビリを続けることで改善すると教えられて、信じて施療している経験の浅い医療現場で働く人たちです。 ■事実と向き合い、真摯な声に耳を傾け現在の脳血管疾患後遺障害へのリハビリの考え方は、麻痺した部分を一生懸命動かす刺激が求心性刺激となって、すでに壊死した脳組織周辺に新たなるシナップスを生じさせ、新しく出来たバイパスを通して、脳からの指令としての遠心性刺激が麻痺していた組織の運動を指示し、運動機能を回復させるというものです。仮に、この理論が正しいとするならば、リハビリ開始期間に関係なく回復して来るはずです。現実は、リハビリを「しようがしまいが」改善する人は改善し、改善しない人は改善しません。だからこそ「発症後半年の自然治癒の期間」が過ぎれば、改善しなかった人は改善しないのです。 リハビリの歴史は、ほかの医学分野と比較して、とても浅く、まだまだ緒に付いたばかりであり、臨床医を含め医学者や研究者も、もっと事実に対し謙虚になるべきです。 厚生労働省が打ち出した受診期間制限の問題に関して、撤回されたとはいえ、出版社の編集者もむやみに学界の権威の先生であるから「ごもっとも」とばかりに彼らの意見だけを述べさせるのではなく、もっとその深部にある問題まで改めて掘り下げて出版する責任があります。さらに、リハビリ現場の真摯な声を聞き、学会に提言していくべきだと考えます。医療関係者も、マスコミも、現場も、厳しい意見が正しいメカニズム発見への近道であることを忘れてはならないのです。 ■誤解を招きやすい文言厚生労働省は、思いも寄らぬ大きな反対運動から「改善の見込みのある人は、期間に関係なくリハビリを続けてくださって結構です」との苦し紛れの文言を出し、大幅な妥協を余儀なくされました。本来ならば、厚生労働省から「実際に医療現場では半年後の患者さんは改善していないじゃないですか」と反論すべきだったと思います。しかし骨のあることは言わずに、「改善の見込みのある人は、リハビリを続けて結構です」と安易に変更しているのです。それでは「改善の見込みがある」とは、どんな条件が必要なのでしょう。そんな条件などある訳がありません。厚生労働省は、一定期間が経過すると現行のリハビリ方法では改善が認められなく、期間制限をしたいと考えていた当事者なのですから。 厚生労働省の真意は、「どんな人でも改善(自然治癒)期間が過ぎると恐らく治らないのだから、気が済んだところで医療費抑制にご協力ください」というところでしょう。 ■自分の身は自分で守るそれ程改善が起きるということが至難の業と考えられているリハビリ状況だからこそ、作業療法士(OT)、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)にとって素人同然と考えられてきた歯科医師やDHがどんどんリハビリの世界に参入して来て、改善してきたなどという事態になっては、彼らの立つ瀬もありません。その改善に「疑問」を持った目で見られることは、当然のことかもしれません。彼らから難癖を付けられる可能性もあります。だからこそ、誹謗中傷から歯科医師やDHの身分を守るためにも、評価検査に際しては、現況を映し出すデジカメを使って症状の変化推移を記録する必要があるのです。 周囲の感覚がずれている中で、自己防衛も考えなければならない現状を憂います。 |
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