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■はじめに
診療所に脳梗塞後遺症障害で悩む患者さんから治療の依頼があった時、先生方はどう対応されていましたか? 専門知識が乏しく、義歯修理などで済ましていたかもしれません。しかし、これからは違います。例え、発病後何年も経っていて、多くの専門医の受診後も「涎すら」止まらない患者さんであっても、臆することはありません。諦めていた患者さんに、期待以上の改善効果を、歯科の保険診療の中で実現することが可能となりました。それも3ヵ月ほどの短期間で改善がみられます!(資料1)2007年6月8日、「M(メディカル)パタカラ」がH004区分で医療器具の認可を受けました。H004の区分は、医科領域において脳血管障害での後遺障害に対するリハビリ器具が登録される区分です。従来の「メディカルパタカラ」はH001という歯科区分に限られ、それは矯正手術後の摂食機能障害のみを対象とする極々狭い領域でした。それでは今後増加する高齢者に対応できないので、新たにH004区分に申請をし直し、登録できた次第です。 これからはH004区分での認可があるので、改善の可能性がある限り、発病病名や発病後の経過期間に関係なく、摂食機能障害の治療に際し、歯科医師が診断・治療・指示が可能になり、Mパタカラを採用することで、医療保険や介護保険の分野において、歯科医師やDHが容易に活躍できる道が開けたことになります。 このことは歯科医師が活躍できる領域が、飛躍的に広がるきっかけになります。なぜならば、Mパタカラで摂食機能障害の治療をしていれば、患者さんはアンチエイジングで取り上げられているような悩みが同時に改善してくるからです。 ■1.Mパタカラの効能
改良点を説明します。口腔内粘膜を確実に外側に押し出すと口腔内粘膜を通して口輪筋に負荷がかかります。そのためにも内面の外周を可能な限り広くしました。その際、口唇先端部に口唇の圧力が集中する歪みを逃がすため、前方内面に緩やかなカーブを付けました。また、従来は口唇閉鎖力の違いで3種類のパタカラを必要としていましたが、これを2種の強度の異なる板バネを付け変えることで、1個のMパタカラで間に合わせました。(資料3) ■2.摂食機能障害への対処摂食機能障害の治療法としても、摂食機能訓練(1回185点)が歯科で注目されています。摂食機能障害とは 1.脳の発育不全や萎縮、2.舌・顎切除に伴うもの、3.脳疾患などの後遺障害に伴い見られる症状です。特定の疾患がなくとも老化に伴い起こるものです。高齢者が増加すればするほど摂食障害患者数が増加するのが肯けます。■3.厚生労働省の思惑を考えると厚生労働省の思惑を知るには、厚生労働省本省が下部機関へ通知する文書を精査することが大切です。いわば、「青本」や「Q&A」の行間の「意図」を読むことが大切です。■4.歯科医師「摂食機能障害」参入の心の障害歯科医師が今まで「摂食機能障害」治療に踏み切れなかった理由は幾つか考えられます。1番目は、大学時代に系統だった教育を受けておらず、卒後にも臨床経験がないに等しいこと。2番目は、歯科医師には「摂食機能障害」の治療が法律的にもなじまないこと。3番目は、治療に付随する添付様式への書き込みが煩わしいこと。4番目には、未経験な自分たちが本当に摂食機能障害者にリハビリ治療をすることで改善が可能なのか自信がなかったこと。これらが理由に挙げられると思います。 しかし、これからは不安に感じる必要は少しもありません。会員情報誌TOGETHER10月号を習熟し、記載された様式に記入していき、そして、Mパタカラという医療機器をお使いいただくならば、先生方が患者さんの摂食機能障害を改善させるのではなく、患者さんの身体が自分自身を改善させるからです。大切なことは継続させるためのモチベーションの持続です。 ■5.診断確定のためにVF検査は必須ではない厚生労働省は、前回の医療保険改正時のQ&Aの中で「摂食機能障害」の診断確定のために「VF検査(VTR嚥下透視検査)は必須ではない」としています。あまり注目されなかった一文ですが、とても大きな意味がある文言なのです。文献を読むと、「摂食機能障害を確定させるにはVF検査より正確な手段はない」といわれています。なぜ厚生労働省は、しっかりと診断確定させなくとも良いという線を打ち出してきたのでしょう。厚生労働省はもしかすると、摂食障害を確定させるために高額器械を揃えさせたとしても、現在のリハビリ方法では改善の可能性が少ないのだから、敷居を高くさせるよりは低くして、治らないという実態を知ってもらった方が良いという考えがあるかもしれません。敷居を低くしても(わざわざ高額機器を使って診断させなくとも)、医師・歯科医師が診れば摂食機能障害は容易に診断できると考えているのでしょう。しかし、目立たなく「VF検査に代わる客観性が高い検査が必要」とも記載されております。ならば厚生労働省の思惑に沿う検査方法とはどんな事を考えれば良いでしょう。 名人芸ではなく、ほかの術者に交代しても改善程度が明瞭に比較検討できることが大切です。数値が表示される口唇閉鎖計などの数値評価は文句の付けようがありません。念押しで、舌の形態をデジカメ撮影、保存しておけば、誰も文句は付けられないでしょう。しかし、空嚥下数や頬膨らまし状況、発話の回数状況検査などは、術者の教育、環境、経験年数や状況で評価が変わるので、信頼できる調査とは言い難い方法になります。 ■6.リハビリ方法と改善の実態現在知られているリハビリ方法では発病後6ヵ月という自然治癒期間を過ぎた後遺障害は治癒が期待できないとされていました。但し、これはMパタカラがリハビリ界で知られる以前の常識だったと認識してください。Mパタカラは右側前頭葉の脳血流を増やすため、脳の活性化が起きるようです。脳の指令によって身体各部の筋組織も活動します。Mパタカラは直接的に口腔内の筋組織を活性化しますが、同時に、間接的・同時並行的に筋組織のコントロールを司る脳の活性化にも作用しているということが、従来のリハビリと根本的に違うところです。 ■7.従来のリハビリ老化進行を予防・遅らせるためにも、口唇閉鎖力を強化するエキササイズが絶対に必要です。問題は、STやDHが臨床で実施する百面相に代表されるような激しい表情を作ること、割り箸、風船やストローを使用すること、舌を左右上下に動かしたり、早口言葉を話させることが、有効なエキササイズとなって働いているか否かという1点に絞られます。残念なことですがサーモグラフを使っても改善に結びつくと思われる変化は認められないし(写真4〜12)、また臨床実績でも前述のエキササイズ方法では、ほとんど改善が期待できないというのが現実のようです(厚労省も受診期間制限を強行した程ですから改善が認められなかったのでしょう)。「期待されていなかった」ことを歯科のパタカラで改善できるとなれば、これは素晴らしいことだと思います。
■8.Mパタカラでのリハビリ表情筋全体をしっかりエキササイズできれば右側前頭葉の脳血流が増加し、脳内環境を改善させます。パタカラによる改善の根拠がここにあるのです。効果が出難い従来のリハビリテクニックを継続させるより、口唇にMパタカラをつぐんでもらう方が容易です。要は、改善効果が出てくるからです。そのためにも大事なことはモチベーションを継続させ、Mパタカラストレッチを1日3〜4回、1回3分を確実に継続させることです。■9.摂食機能障害に関連する文献から拾い読み
医科でのリハビリの文献を調べても、発症後半年で治癒しないケースは、いかなるリハビリをしても効果は認められなかったという報告ばかりです。厚生労働省は、昨年の保険改定時に、脳血管障害の後遺障害でのリハビリ受診期間の制限を6カ月に限ると打ち出しましたが、余りにも強い反対世論に遭い、事実上撤回した形となっています。厚生労働省は、従来からのリハビリでは摂食機能障害は改善できないと考えているのでしょう。口元や舌の筋組織への負荷が求心性刺激となって、送り続ける刺激が壊死した脳組織にバイパスを作り、遠心性刺激となって、麻痺側の運動を回復させる理論だからです。それぞれの立場が悪くなるためか、正しい様で正しくないことに、誰も異を唱えません。悪いのは脳の壊死であり、この部位の改善処置をしないことには何も改善効果は起きません。 最近の米国では、舌筋力訓練が注目されています。しかし、私は脳の改善を図らない限り改善効果は少ないと考えます。ある老人病院のOT、PT、STの先生方の報告によると「なぜか分らないが、Mパタカラとの併用でリハビリをすると、改善効果が早く出てくる」と感嘆しています。右側前頭葉脳血流増量がリハビリ改善の分岐点である事にまだ気付いていない医療関係者が大勢います。 Mパタカラを脳梗塞発症後4年の患者さんに使用したら、わずか2カ月弱で涎が垂れなくなったという改善の事実があります。これは、口唇を閉じる力が強くなったためと誤解しがちですが、元々口唇が悪いのではなく、脳からの指令が来なくなっただけのこと。つまり、口への指令が来ずに涎が垂れていたから、脳からの刺激が来るようになった(脳の改善が起きた証拠)ために涎が止まったということになります。リハビリ知識の有無に関係なく、有効なことをすれば必ず改善効果が出てきます。どうぞ安心してMパタカラを臨床でお試しください。(資料13〜16) ■10.歯科医師のウイークポイントをサポート歯科医師は文書作成に弱い(書き込みが面倒な事だという思い込み)という弱点があります。「摂食機能障害」という未知の分野にどのように対処していけば良いかも分からずにいる中で、カルテ記載だけでなく必要に応じて指示文書まで書かなければならないとなると、誰でも腰が引けてしまいます。今回皆さんがそのような気持ちにならないように「雛形」を作成しました。指示に従って○で囲んだり、×で消せば事済むようにしています。どうぞご利用ください。■終わりに
厚生労働省HPを閲覧し、私たち歯科医師が知らない間に、行政はここまで知識が進んでいたのかと感じる先生もたくさんおられるでしょう。会員情報誌TOGETHER10月号では、コムネットがサポート企画として提供していますが、(株)パタカラのHPにも「摂食機能障害」の取り組み方法が記載されておりますので閲覧やダウンロードをお勧めいたします。 自分たちだけの常識に埋没していると、浦島さんのように気が付いた時にはトンでもない時代遅れに置かれているかも知れないのです。歯科が社会で必要とされている理由は市民の健康を守ることであるのに、表情筋のエキササイズによるリハビリは「やらない」というのであっては、リハビリ治療領域を放棄することでもあり、真に市民の健康を守っていく職業とはいえないからです。それは絶対避けねばならないことです。私は、「歯科医師こそが、市民を幸せにできる、市民の身近な職業だ」と信じています。 |
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診療所に脳梗塞後遺症障害で悩む患者さんから治療の依頼があった時、先生方はどう対応されていましたか? 専門知識が乏しく、義歯修理などで済ましていたかもしれません。しかし、これからは違います。例え、発病後何年も経っていて、多くの専門医の受診後も「涎すら」止まらない患者さんであっても、臆することはありません。諦めていた患者さんに、期待以上の改善効果を、歯科の保険診療の中で実現することが可能となりました。それも3ヵ月ほどの短期間で改善がみられます!















