セミナーご案内 セミナー&出展展示会ご案内
歯科医院「本気経営塾」レポ No.2 「『本気経営』塾 in 北海道」に参加して
向 宣男(北海道森町開業)

 平成17年5月15日札幌市内の「かでる2・7」(北海道立道民活動センター)においてコムネットの歯科経営相談会・懇談会「『本気』経営塾 in 北海道」が開かれました。今回は笹島隆博先生に主に「開業5年目以降の歯科医院の経営に関するチェック」というテーマを中心にお話しいただきました。

ライフプランをたてる

 歯科診療所を経営するにあたって収支を改善するためには、(1)支出を減らす (2)収入を増やす という大きな2大テーマがあります。今回は特に開業5年目前後という開業の1つの節目になる時期が仮想のテーマとなりました。
 この「5年目」という時期は開業もひと段落すると同時に来院患者数も開業当初の物珍しさ的な賑わいがなくなり、良くて現状維持、大部分は長期低落傾向のはじまりとなる時期です。さらに税金も本格的?に支払わなくてはならない時期になりますし、医療法人への移行も検討される時期です。それに対して院内ではいままで見えなかった矛盾が少しずつ見え隠れする時期でもあります。
 この笹島先生の相談会・懇談会の一番の特色はその相談を受ける先生のライフプラン・リタイアメントプランを仮想し、一生のうちにいつの時期にどのような種類の資金をどれだけ必要でその目的達成のためにはどのような財務の見直しが必要なのかを考える手法をとっていることがあげられます。

信頼できるパートナーを選ぶ

 このなかで笹島先生は収入をふやすよりもまず無駄な支出を減らす努力についてお話されました。この中で先生方がプロとして信頼されている方(税理士・銀行・リース会社・歯科材料店・生命保険会社)を無条件で信用するといかに先生方は「カモ」になりやすいかを実例を挙げて説明されました。
 最初に確定申告書のチェックから始まるのですが我々歯科医師にとって税務申告はまさに聖域で、事実上全て税理士にお願いしているのではないでしょうか?しかし、上手な納税の方法や税務調査に関する事項によっては税理士の力量の差は大きく、税理士を正しく選ぶことが正しい納税(=合法的な節税)の第一歩であると話されました。またこれをお読みの先生の中には「そろそろ法人成り」を検討されている先生もいらっしゃるかと思います。「本当に法人成りをする必要があるのか?」「法人成りのメリット・デメリットとは」について税理士の立場ではなくファイナンシャルプランナーとしての立場で説明されたことが非常に新鮮な感じがしました。
 さらに、よく「経営=資金繰り」といわれますが、リースやローンの上手な組み方や業者との付き合い方まで細かくお話になりました。また日本の生命保険は俗に「GNP」(義理・人情・プレゼント)で成り立っているといわれていますが、この中で本当に必要な保険とは一体どのようなものなのかも話していただけました。

コーチングでスタッフを高める

 最後に収入を増やすためにはスタッフを育てることがいかに大切かをお話になりました。
 笹島先生の場合は、スタッフのスキルがアップすることももちろん大切であるが、一番大切なのは「院長と共通の認識を持ち、スタッフが主体的に診療所を管理できるようにすることだ」と話されました。
 先生方の診療所の新人スタッフが自立するための何が必要なのか具体的なアプローチについて細かく解説していただきました。これらのアプローチの方法は、実際に今世界に進出している会社が使っている科学的で合理的な方法であり、我々でもわかるように実例を挙げながら説明されました。
 ことに最近の若い人たちは「考えて行動する」ということが非常に苦手のように思われます。しかしそういった彼女たちの潜在的な能力をいかに引き出しながら自立させてゆくための手法については、コーチングやブレインストーミングなどの新しい手法から朝礼などの伝統的な手法までさまざまな方法の有機的なコンビネーションについては、実際に当日参加していた先生方をスタッフに見立て実際にトレーニングをされました。
 また保険診療には欠かせないレセプトについてのコーチングや患者さまが自費診療をされる時の心理、スタッフのコスト意識の育成、クレームに対する処理の仕方などについてもお話しされました。

また参加したい「本気」経営塾

 笹島先生のお話は実際に1000件以上の歯科医院をご自分の足で訪問された中から生まれたものです。我々はどうしても狭い歯科診療所の「あるじ」の立場で物事を見てしまいます。自分では正しいと思ったことでも実際に世間では通用しなかったということはたくさんあると思います。私も一度には全て実践はできませんが、まずやれることから始めていきたいと思います。
 実は私は笹島先生の「本気」経営塾への参加は今回で2回めです。実際に笹島先生は日々勉強し成長されていますので、また新たな気持ちで聞くことができました。もし機会があるなら日を変えて再度参加したいと思っております。
 「良薬は口に苦し」の精神で院長自らが変わることによってスタッフや診療所を変えたいと思っていらっしゃる先生方には、是非オススメしたい勉強会です。